2014年4月16日水曜日

素敵な考え方の話。

いつからか、気付いたときにはハルキスト。きたる4月18日、短編小説が発売となりますが、そんなことは置いといて。私の好きな小説のワンフレーズをご紹介します。

『でもね、よく考えてみろよ。条件はみんな同じなんだ。故障した飛行機に乗り合わせるみたいにさ。もちろん運の強いのもいりゃ運の悪いものもいる。タフなのもいりゃ弱いのもいる、金持ちもいりゃ貧乏人もいる。だけどね、人並み外れた強さを持ったやつなんて誰もいないんだ。みんな同じさ。何かを持ってるやつはいつか失くすんじゃないかとビクついてるし、何も持ってないやつは永遠に何も持てないんじゃないかと心配してる。みんな同じさ。だから早くそれに気付いた人間がほんの少しでも強くなろうって努力するべきなんだ。振りをするだけでもいい。そうだろ?強い人間なんてどこにも居やしない。強い振りのできる人間がいるだけさ。』

村上春樹(1979年)風の歌を聴け 講談社文庫

いつもふと、このフレーズを思い出して力を抜く。『強がり』とはまた違う、強い振りのできる人間に、いつかなってみたいものであります。

2014年4月9日水曜日

余計な事の話。

前回の記事、『余計な事の話。』の雑誌の引用を読んで、確かになるほど、素敵な考え方だなと思いました。そういう感覚に近いもので私にも好きな文章があるのでご紹介します。

 頬を撫でてゆく風の感触も甘く、季節が変わってゆこうとしていることがわかります。アラスカに暮らし始めて十五年が経ちましたが、ぼくはページをめくるようにはっきりと変化してゆくこの土地の季節感が好きです。
 人間の気持ちとは可笑しいものですね。どうしようもなく些細な日常に左右されている一方で、風の感触や初夏の気配で、こんなにも豊かになれるのですから。人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。きっと、その浅さで、人は生きていけるのでしょう。

星野道夫(1999年)旅をする木 文春文庫

http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167515027